読売新聞社 時代の証言者 長谷川 眞理子先生(自然人類学者)

読売新聞の「時代の証言者」からの気になる記事がありましたのでご紹介します。

自然人類学者の長谷川眞理子 先生の記事です。

  「母親の孤立の防ぐ工夫」から一部抜粋および引用

私が客員研究員を務める東京都医学総合研究所で児童虐待の「予防的支援事業」に関わっています。
被害に遭っている子供たちを救うのはもちろん重要ですが予防する「川上の対策」も必要だと思うのです。

人間は「共同繁殖」「共同保育」の動物です。

脳が発達した人間の子どもを育てるのは大変で、自立に時間がかかります。狩猟採集民だった人間は
両親が祖父母や親類などの助けを借りて「集団で」子育てをしてきたのです。
人間の最大の特徴である「心」の共有が可能になり、言語を通じて絆を深められるように進化したことも影響しています。

日本で核家族が急速に進み、地域社会も崩れたのはこの数十年です。

今、必要なのは、周囲からのサポートが十分に受けられず孤立しがちな女性の存在を早期に把握し幅広い支援を行うことです。
都は25歳以下の初産の女性などを対象に一人の担当者が出産前から支援する事業を拡大しています。

<都医学研の西田淳志・社会健康医学研究センター長によると近年の研究で人間の精神的な成熟は25歳ごろとされ
それまでは出産や子育てに手厚い支援が必要だという>
私も事業に助言し、職員研修の講師も務めました。

社会全体で子育てを支援することで、「共同保育」の原点に近づくように願っています。

長い年月をかけて動物の進化や生態の研究をしていらした方が人間の特性を踏まえて社会に提言をされています。

このようなエビデンスがなければ母親の支援に気づくことも事業につなげることもできなったかもしれない。

社会全体で子育てを支援することで、「共同保育」原点に近づけていこうというメッセージが発信されなければ
子育てが、母親中心にされる子供の世話になってしまうかもしれない。
と感じてしまいました。

長谷川 眞理子先生の知見や活動を通して「共同保育」という概念が社会に普及してほしいと思いました